もものともしび

ほのかにひかる

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ミッドサマー

夏至が来た。この日が来ると毎年頭を抱える。この先、日が短くなる一方じゃないか。自分は日が出ている時間が短い季節に弱い。11月になると、迫りくる寒さと日暮れの早さに参ってしまう。その代わり冬至が来れば、ここからは日が長くなるぞ、と少しわくわく…

30にして惑いっぱなし

最近、「25歳を過ぎたら読む本」と帯のかけられた本を読んだ。ちょっと自分が手に取るには、遅かったらしい。30歳を前にして現れるもやもやについて書かれていたけれど、今年になって30歳を迎えてしまっている。何年か前の自分には良かったかもしれないけれ…

おもう人たち

友人に招待された結婚式が近づいてきた。慌てて買いに行ったフォーマルもある。鞄もパーティ用のがあったはずだし、袱紗もしまってあったはず。あとは御祝儀袋を買わねばと、文房具も扱っている本屋に行った。 壁のある部分が御祝儀袋で埋められている。色と…

小さな頭突き

ある路地を通ると、必ず行く手を塞ぐ猫がいたことがある。黒にお腹と足が白い猫で、通るといつも足元にまとわりついてくる。どうやらその近所の家に住んでいるのか、ご飯をもらっているのかをしているらしい猫だった。たまにしか通らないけれど、用事があっ…

紫の香り

髪を切った。美容院に行くのがどうにも苦手だったのだけれど、最近は担当してくれているお兄さんが寡黙なので行くことが出来ている。何を話せばいいのか分からないので美容院は苦手だった。前に担当してくれていたお姉さんが辞めてしまう前に、後任でこの人…

ぴかぴか光る

ご飯を食べることが好きだ。好きすぎるあまり、体型は完全にメタボである。2年前までは痩せ型で、標準よりも軽い体重だった、なんて今会う人に言っても信じてもらえないだろうけれど。 栄養を取ると、顔が輝くような気がしている。どういう仕組みなのか分か…

生産的な休日

休みの日は自堕落を極めている。起きるのは昼になってから、ご飯を食べたら、眠たくなるのでそのままお昼寝。夕方になって、のそりと起きてきてまたご飯。生産的なことは何一つない。 いつだったか、あまりにも自堕落を極めているので、何か一つでも生産的な…

碧の翼

視界の端をコバルトブルーがかすめた。 職場の近くには川が流れていて、昼食を取りに外へ出ると川沿いを歩くことになる。いつもの光景なので、川が流れる様子を見たりはしない。いつものように、川沿いを歩く。視界の端を碧がひらめく。思わず立ち止まって、…

セーブポイント

もう3年くらい通い続けているお店がある。沖縄居酒屋のお店で、昼になるとランチ営業をやっている。夜に行ったことはなく、ランチを目当てに通っている。通い始めた当初は値段も安く、かつ美味しくてお腹いっぱいになるのが嬉しくて、それで行くのを決めた。…

温かい我が家

駅の構内で、ふと上を見上げるとツバメの巣があった。こんなところにも住んでいるんだ、と思う。ツバメを見るのが好きだ。ツバメが飛んでくると、あぁ暖かくなったんだ、と実感する。自分は冬がとにかく苦手で、日照時間の短さに鬱々としてしまう。夏至を過…

みんなちぎりパン

生後3〜5ヶ月の子どもを見かけると、ちぎりパンだ、と思ってしまう。その月齢特有のもっちりした四肢を見ると、どうしてもちぎりパンにしか見えないのだ。ふくふくとした腕や脚を心赴くままに動かしている様には、生命を感じて少しわくわくしてしまう。自分…

おうちに帰ろう

駅の構内、乗り換えの途中、目があってしまった。 そこには、山になった秋田犬のぬいぐるみ。どうしても自分は同じものがたくさん並んでいるのに弱い。大きいのから小さいのまで大きさは3種類で、同じ方向を向いてみんなでにかっと笑って舌を出している。ど…

あまやどり

音楽アプリで自然音ばかりを聞いている。大抵は雨音を聞いていて、森に降る雨だったり、静かに降る雨だったりを流す。無音も好きだけれど、なんとなく落ち着きたい時は自然音を聞くことにしている。 雨音だけでなくて、川の流れる音や鳥の鳴き声の響く森の音…

温帯のホッキョクグマ

友人から結婚式の招待をいただいた。仕事がある日だったけれど、引き継ぎをして休みをもらう。出席にマルをつけて、招待状を返す。1年に1回くらいのペースで結婚式に出ている気がする。昨年も着たフォーマルを着れば良いか、なんて考えていたのが甘かった。 …

深紅の宝石

仕事からの帰り道、八百屋の前を通る。道に面して、季節の果物が並んでいるのを見るのが好きだ。ビニール袋にぎっしり入った小ぶりないちごが売られていた時は思わず手に取ってしまった。なんだか童話に出てきそうな袋だったから。そこの八百屋はスーパーで…