もものともしび

ほのかにひかる

膝の上 視界の端

人を待つのにベンチに座る。しばらくして、白いもこもこしたものを抱えた人が同じベンチの端に座った。思わずもこもこを盗み見る。白いトイプードルが主人の膝の上にちょこんと座っていた。

地面に下ろすんだろうか、なんて少し思いながら、SNS巡りに戻る。視界の端には、時たまもぞもぞと姿勢を変えるトイプードルがいる。気になってちらりと見ると、ふんわりと主人が抱えていた。膝の上で、はっはっはっはっという呼吸にあわせてトイプードルは揺れる。

自分は動物が好きだ。でも一緒に住んだことがあるのは金魚くらいだし、それも幼少の頃だったので世話が出来たわけではない。それでもやっぱり好きだと言いたい。野良猫がいたら、そうっと人差し指を出して仲良くしようと試みるし、犬が散歩しているのを後ろから見ていたくてちょっとだけ付いていったら迷子になったこともある。一緒に暮らしたり、触ったりするのには勇気がないけれど、いつか仲良くなってみたいと願っている。

隣が気になって仕方ない。じっと見たら変な人だと思って、SNS巡りをする。画面をスクロールするばっかりで、視界の端っこにいるトイプードルに気を取られてばかりだ。そのうち、主人の待ち人が来たようで、彼らは去っていった。去る時にやっと地面に下ろされたトイプードルはくるくると回りながらいなくなった。ベンチに残されてもなお、呼吸と一緒に揺れるトイプードルについて考える。あの揺れを肌に感じる日がいつか来るのだろうか。