もものともしび

ほのかにひかる

レモンイエローの時間

5月の朝の匂いが好きだ。少し窓を開けて、日がさす中で布団に潜り込んで、ヒタキのヒッ、ヒッ、という短い鳴き声を聞いていると何もしたくなくなる。

ちょっと冴えた空気と春に向けて暖かくなる予感の風、太陽の匂い。そこには透き通ったレモンイエローの時間がある気がして、なんとなく自分にとって5月の朝は特別だ。

そんな特別な時間を布団に潜り込んで過ごすことの贅沢なことか。仕方なく仕事に行く支度をいつもしているけど、許されるならそのままぼんやり過ごしたいのである。

休みの日はというと、平日の夜を取り戻すかのように日が高くなるまで眠っているので、朝と呼べる時間帯を味わえない。10時間は眠りたいのに、7〜8時間睡眠で我慢して普段は生きている。充分寝ている方かもしれないけれど、自分には足りない。

レモンイエローの時間は短い。もっと季節が進んだら、梅雨の湿気で違う色になり、低気圧と戦ってそれどころじゃないだろう。だから、今の間だけ、その空気を吸い込んでいたい。